不動産の生前贈与はメリットがあるのか?【シュミレーションして検証】

不動産生前贈与の メリットはあるか?

母が相続対策として数年間行った不動産の生前贈与。

何か意味があるのかと思い母亡き後に一度基礎控除内で不動産贈与を行ったのですが、あまり意味がなく、やらなくても良かったなと思っています。

そこで、不動産を生前贈与をしてメリットがあるのか検証をするためのシュミレーションをしてみました。

この記事で分かる事
生前贈与をしたらどのくらい税金が変わるのか例をあげてのシュミレーション
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この記事は相続時に相続税金の計算をしてみて、支出を抑えるためにも税金について学ぶ事は重要だと気づき、税金の勉強を始めた素人が様々な情報を集めて計算したものです。

こんな考え方もあるのかという程度に読んでいただければと思います。

生前贈与を考えている場合、正確な情報は税務署に質問するか、税理士さんに相談してください。

– 生前贈与をやらない方が良い場合

被相続人が高齢の場合。

私がやらなければ良かったと思った生前贈与です。

2024年1月1日以降は生前贈与加算が死亡前3年から7年に延長され、生前贈与をしてから7年以内に贈与者が亡くなると、贈与財産を相続税の課税対象財産に含めなければなりません。

贈与を行う時の時間と手間を考えたら贈与者が高齢の場合は避けた方が良いです。

– 生前贈与をしてもいいのではと思われる例

不動産贈与メリット

例えば、

贈与する側が若く、不動産収入を得ることで所得税の税率が33%や40%などに上がってしまう場合。

所得税が高くなり、将来贈与税がかかるほどの貯蓄などがある場合は、他の不動産投資などをして事業を拡大していくことで相続税が出来るだけかからないように貯蓄を減らし相続税対策をしていくか、生前贈与をしたと仮定して税金のシュミレーションをして必要に応じて生前贈与を考えてもいいと思います。

◆以下のように仮定してみる◆

①毎年110万円分の不動産贈与を行うことで、毎年の所得税がどのくらい変わるのか?

②家賃収入に関わる建物だけを全て生前贈与してしまうとどのくらい税金がかかり、所得税はどう変わるか?

– 生前贈与をしてメリットがあるかの検証 

・800万円の年収がある親が所有する築30年以上の不動産(アパート)の家賃収入が経費を引いて年間260万程あると仮定します。

・建物の固定資産評価額が500万円。

何故贈与をした方がいいかを考える必要があるか?

・アパート経営などは、購入して何年間建物の減価償却が出来るが、減価償却が終わっているので経費が少なく所得税が高くなってしまう。

 

少子化に伴い、相続する人が少ないと相続時に相続税がかかってしまうので、子供に生前贈与してしまうと税金はどうなるかのシュミレーションをします。

– 仮定①:毎年100万円分ずつ建物を贈与して登記する。

※110万円まで非課税ですが、計算を簡単にするために100万円で計算します。

【100万円分建物を贈与した時の登記と不動産所得税】

登記にかかる金額 *** 固定資産評価額×2% ※登記は自分で行うものとする。

不動産取得税 *** 固定資産評価額×4% ※自治体に要確認

 

毎年100万円を贈与税非課税で贈与するとかかる金額は、

100万円×6%(登記と不動産取得税)6万円円/年×5年間

※1不動産取得税の税率は原則4%だが、土地と住宅については2027年3月31日の取得までは3%に引き下げられている。アパートは住宅ではないと思い4%で計算してあるが、中古マンションなどは、贈与税や不動産取得税、登録免許税に軽減措置があるので不動産がある自治体に要確認。

 

相続と生前贈与で変わる金額はどのくらい?

不動産の登記での登録免許税、つまり、登記する時に払う印紙代は不動産の固定資産評価額に対して

相続では0.4%ですが、

贈与の登記では2%。

固定資産税評価額が500万円の建物であれば相続で不動産を受け継ぐ場合の登録免許税は2万円。

生前贈与ので不動産登記を行う場合は、合計10万円を収めることになります。

生前贈与では不動産取得税20万円もかかる可能性がある(中古マンションなどは、贈与税や不動産取得税、登録免許税に軽減措置があるので不動産がある自治体の窓口に聞く)

毎年基礎控除内で生前贈与を行った場合にかかる費用は合計30万円

不動産を相続するよりも28万円多く支払い、毎年の登記の手間がかかります。※登記は自分で登記する。

– 収入が増える時の所得税の違いは?

不動産収入、所得税率 計算

 

例えば収入が800万円だったとする。

計算方法

1.不動産所得がない時の親の所得税

収入が800万円ですと所得税は23パーセントー基礎控除額636,000

800万円×23%=1,840,000円

1,840,000円-636,000円=1,204,000円所得税を払う

 

2.不動産所得を加える時の親の所得税

家賃収入をプラスすると収入が1,150万円に増えたとする。

1,150万円×所得税33%=3,795,000円

3,795,000円ー基礎控除1,536,000円=2,259,000円所得税を払う

 

3.不動産所得が増えた時の親の所得税の差額

所得が800万円と1,150万円時の所得税の違い

2,259,000円-1,204,000円=1,055,000円不動産収入がない時よりも多く所得税を支払うことになる。

※青色申告にして10万円の基礎控除を受けたとする。

約100万円の所得税を子供に生前贈与をしておくことで、どのくらい節約できるのかシュミレーションしてみます。

相続税対策 不動産

– 5年後に生前贈与が終わった時の子供の所得税

1.アパートの収入を経費を引いて200万円までに収められたとする

※アパート以外の収入がないと考えた時

200万円ー所得税基礎控除480,000円=1,520,000円

 

所得税は5%

1,520,000円×所得税5%=76,000円所得税を支払う

2.アパートの収入が経費を引いて260万円だったとする

260万円ー所得基礎控除480,000円=2,120,000円

 

所得税は10%

2,120,000円×10%=212,000円

212,000-控除額97,500円=2,022,500円所得税を支払う

 

3.家賃収入以外、サラリーマンとしての収入が生命保険や諸々の控除を引いて250万円だったとする。

1.家賃収入が200万円だった場合、

250万円(収入)+200万円(家賃収入)

450万円×20%=900,000円

900,000円-控除427500円=472,500円所得税を払う

 

子供がお給料だけの時と家賃収入がある時の差額は?

アパート収入がなくて所得がお給料だけの250万円の場合、所得税は10%なので、

250万円×10%=250,000円

250,000円-控除97,500=152,500円所得税を払う

 

子供がアパートを贈与した後、アパート収入がある時とない時の所得税の差額

472,500円-152,500円=320,000円(おおよそアパートに支払う所得税)

 

– 仮定②:まとめて贈与してしまう場合

※子供の収入が他にまだないと仮定する。

500万円-110万円(生前贈与基礎控除)=3,900,000円(課税対象)

(3,900,000円×15%)-10万円(控除額)=485,00円贈与で支払う税金)

これにプラスして登録免許税10万円がかかるので合計58万5千円かかる。

※これにプラスして不動産取得税20万円もかかるか不動産の所在地の窓口に要確認。

不動産所得税がかかるなら78万5千円

 

【特例贈与財産の税率】
特別贈与財産とは、父母などの直系尊属から18歳以上の子・孫など直系卑属に贈与される場合。
基礎控除後の課税価格  税率  控除額
0〜200万円以下 10% なし
200万円超~400万円以下 15% 10万円
400万円超~600万円以下 20% 30万円
600万円超~1000万円以下  30%  90万円
1,000万円超~1,500万円以下  40% 190万円
1,500万円超~3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超~4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超~  55%  640万円

  No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

– 税金の支払い、申告などはどうするの?

– 不動産所得税はいつ払うのか?

不動産を贈与した時でも不動産所得税を支払います。

支払いは納税通知書が届いたタイミング

不動産取得税に関しては、住民税や自動車税などのように明確な期限や月日が定まっていない。各都道府県の事務所や支庁から「納税通知書」が送付されたタイミングで、記載されている期限を守って支払おう。なお、通知書送付の時期や支払い期日も自治体によって異なり、例えば、東京都の場合は通知書の発送は毎月7日ごろ、納税期限は原則発送月の月末とされている。

不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額)×税率
・土地、住宅用の建物:3%(令和9年(2027年)3月31日までの特例)
・店舗・事務所など住宅以外の建物:4%

 

– 贈与の申告はどうするのか?

基礎控除以内なら申告の義務はなし。

基礎控除を超えた贈与税の申告は、不動産などの財産を贈られた受贈者が行う。
贈与を受けた翌年2月1日~3月15日までに行う。
申告は、贈与を受けた課税対象者の住所地を管轄する税務署に対して行う。
申告手続きは税理士に依頼することも可能。

贈与税の申告方法

・税務署に持参して直接申告する。
・郵送で申告する。
・国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する。

 

– まとめ

毎年基礎控除内贈与する場合は100万円ずつ5年間続けると60,000円×5年=30万円

※登記は毎年自分で行うとする。

※1不動産取得税の税率は原則4%だが、土地と住宅については2027年3月31日の取得までは3%に引き下げられている。アパートは住宅ではないと思い4%で計算してあるが、中古マンションなどは、贈与税や不動産取得税、登録免許税に軽減措置があるので不動産がある自治体に要確認。

 

全て贈与してしまう場合不動産取得税(不動産所得税がどのくらいかかるかは自治体に確認)によるが大体合計78万5千円

 

基礎控除内の生前贈与で支払う合計は30万円だが、毎年所得税がどのくらいかかるかによっては生前贈与税を払っても一度に全てを贈与してしまった方のが良い場合もある。

 

しかし、生前贈与申告を税務署にするのは面倒と考える人は多いのではないでしょうか?

一度に生前贈与をしてしまうと子供の収入によっては親の所得税を減らせるメリット、5年間続けて登記の手間が1度で済むというメリットがあります。

 

全てを贈与してしまう場合、約60-80万円ほど支払う事になりますが、800万円の所得だった人が900万円を超えることで所得税率が23%から33%に上がる事で所得税が毎年約100万円、収入によってはもっと支払う事になる可能性もあるので、その場合は、約60-80万円を支払っても贈与してしまった方のが良い可能性もある。

子供の収入にもよっては子供の所得税の税率が上がる可能性もありますが、家賃収入を子供の収入に出来るので、不動産を持っている親が家賃収入を他の不動産投資に回さずに貯蓄が増えていくだけなら、子供に不動産を贈与して家賃収入を子供の貯蓄とした方のが所得税も相続税も減らせるのではと思います。

 

もちろん、子供の確定申告が面倒になる、子供に不労所得を与えてしまって良いのかと考えてしまいますので、親がローンなどを組む不動産投資などをして自分の収入を減らしても良いのかもしれません。

※所得税の他に住民税10%もかかりますが、ここでは計算していません。